元運転士が解説 鉄道信号とは

鉄道のしくみ

 鉄道の信号といえば、赤、青、黄色のランプが縦に並んだ信号機をイメージする方が多いのではないでしょうか。実は信号機はもちろん、駅員さんが持っている旗や線路わきにある速度を示した標識も広い意味では「鉄道信号」といいます。今回は「鉄道信号」について解説します。

鉄道信号とは

 鉄道輸送には安全性、正確性が求められます。安全正確な輸送を行うため、運転士や車掌、駅員などの鉄道係員に列車、車両を運転する条件や各種情報、指示を伝達することを目的に「鉄道信号」が用いられています。

鉄道信号の分類

「鉄道信号」は「信号」「合図」「標識」の三つに分類され、それぞれ次のように定義されています。

信号=係員に対して、列車又は車両を運転するときの条件を現示するものをいう。

合図=係員相互間で、その相手者に対して合図者の意図を表示するものをいう。

標識=係員に対して、物の位置、方向、条件等を表示するものをいう。

 一般的によく見る赤、青、黄色のランプが点灯する信号機は「鉄道信号」というカテゴリの中にある狭い意味での「信号」に分類されるわけです。一方、駅員さんが使っている旗による合図や、無線機を使って列車に指示を送る合図も「合図」に分類される「鉄道信号」の一種となります。「鉄道信号」が意味する範囲は想像以上に広いことがわかります。

「現示」とは

 信号の定義にのみ「現示」(げんじ)という言葉が使われています。これは信号の示す内容を指すときにのみに使う鉄道独特の専門用語です。現在の状況を指し示すもの、その時点で示されている内容のことを指しています。信号は時間や状況によって刻々と変化し、運転士をはじめ鉄道係員はその変化に応じて適切な取り扱いを行うことを求められます。信号の示す内容に「現示」という用語を使う一方、合図、標識に対しては「表示」という用語を使います。

 なお、この「現示」と「表示」という言葉の使い分けについては乗務員養成の段階で徹底して指導されます。養成過程で誤って「信号の表示」や「合図の現示」などと答えようものなら、徹底して指摘されます。「現示」については先述のように「現在の状況を~」という風に教官から説明されますが、あまり深く考えすぎると混乱するので信号に対する専門用語としてとらえておくのがいいのかもしれません。こんなことを言うと元も子もないのですが・・・

まとめ

今回は鉄道信号の分類について解説しました。鉄道信号には想像以上に多くの種類があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。次回からはそれぞれの鉄道信号について詳しく解説していく予定です。

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