前回の記事では閉そくとは何か、閉そく、場内、出発信号機の基本的なしくみについて解説しました。今回は信号の防護区間や閉そく、場内、出発信号機に現示される信号の種類について解説します。
信号機の防護区間と内方・外方
信号機が安全を保障している区間のことを「防護区間」といいます。防護区間を持っている信号機のことを「主信号機」といい、閉そく信号機、場内信号機、出発信号機は「主信号」の一種です。
信号機の防護している方向を「信号機の内方」、信号機が信号を現示している方向を「信号機の外方」といいます。読み方は「内方」(ないほう)、「外方」(がいほう)です。鉄道ではこの「内方」、「外方」という表現が非常によく使われます。
閉そく、場内、出発信号機が現示する信号の種類
現示される信号の種類は最大で次の5種類である場合が多いです。停止信号、警戒信号、注意信号、減速信号、進行信号です。警戒・注意・減速・進行信号をまとめて「進行を指示する信号」といいます。「進行を指示する信号」が現示されている場合、特段の理由がないのに停止することはできません。
なお、鉄道事業者によってはこれ以外の現示を有している場合もあります。(別の機会に解説したいと思います。)
停止信号
停止信号は列車の停止する限界を示します。停止信号の内方は進路の安全が保障されていません。列車同士の衝突や進路構成されていないポイントでの脱線の危険があります。停止信号の現示があれば、確実に外方に停止しなくてはいけません。
警戒信号
警戒信号の現示位置を超えて進行する場合は時速25㎞以下で進行します。警戒信号の先には停止信号の現示や停止位置があり、運転士に高い注意力を促す場合に現示される信号です。
注意信号
注意信号の現示を超えて進行する場合は時速45㎞以下で進行します。注意信号の先には停止信号か警戒信号の現示、または停止位置があることを予期して運転します。
減速信号
減速信号の現示を超えて進行する場合は時速65㎞以下で進行します。減速信号機の先には注意信号か警戒信号の現示があることを予期して運転します。
進行信号
進行信号の現示を超えて運行する場合、信号による速度制限はありません。ただし、線区や車両性能で定められた速度、曲線などの線形に対する速度制限を超えることはできません。
信号現示の関係性
各信号現示の関係性は上の図のようになります。例えば、減速信号の先の現示は注意現示または警戒現示となっているはずです。閉そく区間ごとの距離が短く設定され、信号機どうしの距離が短い場合は同じ現示が連続する場合もあります。
まとめ
今回は信号機の「防護区間」と「内方」「外方」、閉そく・場内・出発信号機が現示する信号の種類について解説いたしました。鉄道の信号のしくみについてイメージを持ってもらうことはできましたでしょうか。
なお、今回紹介した信号現示による速度制限は鉄道事業者によって若干の違いがあるようですのでその点はご了承の上で読んでいただけると幸いです。
次回は入換信号機について解説しようと思います。
コメント
こんにちは、とある会社で運転教習を受けている者です。
運転教習の自習の最中こちらのブログを見つけました。とても分かりやすく明快な説明で、理解が深まりました。本当にありがとうございます。
運転同期にも伝えて、さらにみんなでしっかり勉強をしていこうと思います。