おもちゃで解説 鉄道知識 列車と車両

鉄道のしくみ

皆さんは線路の上を走るこの乗り物のことを何というでしょうか。電車、車両、列車、地域によっては汽車というところもあるかもしれません。
鉄道用語では「車両」「列車」という言葉を主に使い、両者は明確に区別されています。鉄道現場において電車とか汽車という用語は通常使用しません。(お客さん向けに使う場合を除いて)
今回は鉄道用語の「車両」と「列車」の違いについて解説します。

「車両」と「列車」の定義

まずは「車両」の定義を確認しておきましょう。
「車両」とは機関車、旅客車、貨物車及び特殊車であって鉄道事業の用に供するもの。
特殊車とは例えば除雪車や電気試験車など特殊な構造、設備を持った車両のことです。

一方、「列車」はどうでしょうか。
「列車」とは「停車場外」を運転する目的で組成された「車両」のこと。
「停車場」とは駅、操車場や信号場のことを指します。

「停車場」は「駅長」の管理の下に安全が確保されており、駅間などの「停車場外」と安全に対する考え方や取り扱いが異なります。
「停車場外」を安全に運行するには各種条件を満たす必要があり、これを「列車の組成条件」といいます。
「車両」の中でも停車場外を運転することを目的に、この組成条件を満たしたものが「列車」といえるのです。

列車の組成条件

列車の組成条件はたくさんあるのですが、その一部を見ていきましょう。

①列車に対するけん引定数をこえて車両を連結しないこと
けん引定数とは動力車がある一定の速度でけん引できる車両重量の限度のことです。限度をこえて連結してしまっては例えば上り坂で立往生してしまうかもしれません。ダイヤ通りに運行できないばかりか危険が生じることも考えられます。

②組成両数が停止する停車場の有効長以内であること
有効長とは停車場の分岐器手前に設置された車両接触限界標識間の距離のことで、安全に列車同士が追い越し、行き違いができるように設定されています。
車両接触限界標識とは、ここを超えると列車同士がぶつかって危険だということがわかるよう設置された目安となるものです

③すべての車軸に作用する貫通ブレーキを備えること
貫通ブレーキとはすべての車両にブレーキを制御する空気管や電線を引きとおし、運転士の操作で一斉にブレーキを行うことができるものです。
現在の列車では当たり前のことですが、ブレーキの制御システムが発明される前の時代には各車両にブレーキをかけるためのブレーキ手が乗務していました。

④最前部の前頭運転台で操縦できること
基本的には列車の最前部にある運転台で運転しなければなりません。編成の後ろや中間では前方の視界を十分に確保することができないからです。ただし、故障など必要な場合は所定の手続きを取った上で、前頭運転台以外で操縦する推進運転を行う場合もあります。

⑤列車の前部には前部標識、後部には後部標識を表示すること
端から見て列車の前と後ろがわからなければ、どちらに進むのかがわからず危険です。そのため、前と後ろを区別するための前部標識、後部標識の表示が義務付けられています。前部標識は白色に光る前照灯、後部標識は赤く光る尾灯のことです。(前部標識は時間帯によって表示を省略できることもあります)

まとめ

  • 鉄道用語で「車両」と「列車」は異なる。
  • 停車場外を運行する目的で組成した「車両」を列車という。
  • 「列車」になるには列車の組成条件を満たさなければならない。

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